震災から月日が流れ、薄れていってしまう記憶とならないように
山水閣が年に一度だけ<山小屋 山水閣>になる日があります。
私たちの思いに賛同してくださり、ご宿泊いただきましたお客様に
スタッフ一同、心より感謝申し上げます。
「限られたエネルギーであることを意識し、極力エネルギーを使わない」
「また、あの日のようなことが起きた場合、私たちにできることは何か」
私たちが学んでいくことを、考えていくことを忘れないよう山小屋 山水閣はあります。
山小屋では電気を使う暖房を使用しません。アラジンストーブを1台ずつメンテナンスします。
夕食のお品書きは普段はコピーを使用します。この日は全てのお客様の分を手書きします。
館内を照らす光は非常等とキャンドルです。売店を覗きにきたお客様は
「明日、朝に見ます―」と笑いながら、目を凝らしていらっしゃいました。
私たちスタッフも陽のあるうちに準備を整えらます。「電気を使わない」、たったそれだけのことで
業務の内容も大幅に変わり、優先順位も大きく変わります。
そして、昼から舞っていた雪は夕方にはうっすらと積もり、あたりは雪化粧をしました。
館内も冷えはじめ、スタッフ、お客様ともにいつもより厚着です。
通常は夕食の時間はお客様後にご希望をお伺いして、その時間でご用意いたしますが、
山小屋では皆様同じ時間に始めていただきます。
調理にかかる時間、暖房をまとめることなど、細かなことですが、ひとつひとつを考えていきます。
今回は新しい試みをしました。
山小屋山水閣で堂々と電気を使用します。寒空のこの一か所だけは。
実際に電気が使えなくなった場合でも、携帯やタブレット、PCの充電だけは!と
多くの人が切に願うのではないでしょうか。その時に備え、実験を含めての電気使用です。
山水閣の社用車は電気自動車です。NISSANのe-NV200です。
この車は「走る蓄電池」と公式サイトに書いてありました。
ここから電気を取り、携帯をどれだけ充電できるか。
結果は、充電がほとんどない携帯を7台連続充電しても、まだまだ充電できる!!
1000wで8時間の電気が使えるとなっていますが、環境や使用状況によっての
差もあると思いますし、必要になった場合、どう活用するかを考えるきっかけになりました。
毎年多くのお客様が楽しみにしてくださっているのが「焚き火バー」です。
マスターはお酒を作るプロですが、野外の火の扱いは不得意です。
那須高原自然学校の皆さんの協力を得て、安全に焚き火とお酒を楽します。
今年はウェルカムマシュマロとウェルカムグンテをご用意しました。
そして焚き火バー2017限定オリジナルカクテルは<ソウナンデス>。
を真面目に作った<ソウナンデス>。
お客様もスタッフも一緒になって火を囲み、自然と震災の頃の話をしたり
エネルギーの話をしたり、なんでこんなプランを作ったのかという話になったりします。
昨日の一番人気は「手焼きせんべい」。売店でも販売している古谷農産さんのおせんべい。
炭火でこんがり、アツアツなおせんべいを食べました。
自然の恵みに感謝しながら、24時間温泉に入れる幸せもあります。
煙にいぶされて、冷えた体を温泉に入って温めます。
山小屋 山水閣でご宿泊いただいたお客様がチェックアウトした後、宿は通常に戻りました。
ひとつひとつの電源を入れ、コンセントを差し込み、照明を点け、暖房にスイッチをいれる。
準備をするにも時間と手間がかかります、当日は不便で暗くてワタワタします。
復旧させるにも時間がかかります。それでも、山水閣として毎年続けていくことは
これからも忘れないため、いざというときに私たちにできることに備えます。
また、来年の<山小屋 山水閣>でお会いしましょう。